相談員FPブログ

保険

認知症の方が起こした事故で、家族が損害賠償を請求された場合

2007年に、認知症で徘徊中の91歳の男性が
列車にはねられて死亡した事故がありました。

鉄道会社は、約2時間にわたり運行を停止したことによる
振替輸送の費用と人件費として、
男性の妻(事故当時85歳、要介護認定1)と
遠方に住みながら男性の介護に関わってきた長男に
約720万円の損害賠償を求めました。

最高裁では、妻と長男は監督義務者にあたらず
賠償責任はないと結論づけ、
鉄道会社は敗訴となりましたが、
この件を受けて、各損害保険会社が動き始めました。

この「認知症の方が、人に迷惑をかけた賠償」に備えるとすれば
自動車保険や火災保険に特約として付帯されている
「個人賠償責任保険特約」です。

ただ、直接人や物を傷つけていない場合は
補償されないケースがほとんどです。

近年、損保会社によっては
「認知症患者等が誤って線路に入るなどして電車を止めてしまい、
 遅延・運休に伴う営業損害の損害賠償請求を受けた場合、
 電車の損壊の有無を問わず、
 個人賠償責任補償特約の補償対象とする」
と改定する動きが出始めています。

また、認知症等で加害者に責任能力が問われなければ
本人には責任は生じませんが、
監督義務者が監督責任を問われることになります。
子が親の監督義務を負っていれば
子自身が責任を問われることになります。

この場合に備えて
重度の認知症の親の世話をしている別居の家族も、
親が加入している個人賠償責任特約で
カバーされるように改定した損保会社が増えてきています。

個人賠償責任特約の
・加入、未加入
・保険金額(3億円以上、できれば無制限が望ましい)
・補償される人
・補償されるケース
を確認しておきましょう。

 

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